第85章 彼の擁護

第2章

橘宗一郎はその言葉を真に受けたのか、あるいは真実などどうでもよかったのか。彼にとって重要なのは己の面子のみだった。

彼は橘凛に対し、鋭い声で詰め寄る。

「聞こえんのか! さっさと手伝いのオバサンに謝れ! でなければ今日という今日は……」

その怒号が言い終わらぬうちに、人垣の外から低く冷ややかな、それでいて磁力のような引力を持つ男の声が響き、場の空気を切り裂いた。

「橘社長は、実の娘に対して随分と理不尽な振る舞いをするのだな」

その声には、声を荒らげずとも人を平伏させるような圧倒的な威圧感が宿っており、瞬く間にその場にいる全員の視線を釘付けにした。

宗一郎が愕然として振り...

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